アニメ『ギヴン』の心理学的感想②
前回に続けて、FODの無料配信で見た、
『ギヴン』の感想を書いてみます。
上ノ山の相手となる、ヒロイン?男の子だからやっぱりヒーロー?佐藤。
以下、ネタバレ注意。
見たくない人はページ移動してね。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
彼は中学時代に付き合っていた幼馴染の男の子を、
自死で失っています。
しかもきっかけはケンカの時に発した佐藤の言葉。
もともと父親からの虐待により感情表現を抑えていた佐藤は、
ますます思いを言葉にしなくなります。
内容が重いなあ。
しかし上ノ山、その友人たち、バンド仲間との交流を通じて、
少しずつ感情を取り戻し、思いを素直に伝えるようになっていきます。
その佐藤の描かれ方ですが、特に最初は人間味が感じられません。
きれいな顔と相まって、お人形さんみたい。
感情の乏しさと、生活感のなさが影響しているように思いました。
家のシーンは何度か出てくるんですけどね。無機質な感じの。
存在が匂わされいるものの、
一回も出てこない佐藤の母親はどうなってるのでしょう?
原作の漫画ではもう少し描かれてるのかな。
母親からも心理的ネグレクトに近い扱いを受けてるのかも、
と思ってしまいました。
佐藤の受け身な姿勢は、母親を取り入れたものなのかもしれません。
自分とは無関係に、突然周りで嵐が起こる。
何かすると、下手したら事態が悪化するだけ。
だから自分の意志を持つだけ無駄。
できるだけ周りを見ない、知ろうとしない、関わらない、何もしない。
学習性無力感ですね。
一方で、誰かが代わりに行動して助けてくれるのを待ってる。
非常事態では、仕方のない対処法。
でも大きな危険のないときには、本人を閉じ込めて煮詰まらせてしまうだけ。
佐藤の成長は、(少なくとも彼よりは)自我が育ち、
自分で考えたり行動できる人たちと関われたことが大きいでしょう。
彼らを取り入れて同じような言動をしたり、
彼らに対して様々な感情を抱いたことから、佐藤らしさ≒人間味が出てきた。
もちろん彼が、やろうと思ったときにやれるだけの力を持ってたからこそ、ですが。
多くの人と関わるメリットって、
そんなところにあるのではないでしょうか。
良いところを取り入れる。
良いと思えないところを反面教師にする。
自分と共通するところ/違うところから自分を知る。
その判断のベースには感情があるし、
関りが増えることでさらに感情の幅が広がり、細やかになっていく。
友だちが多いほどいい、なんて言いたいわけじゃありません。
わずかな人との関係性以外をシャットアウトすると、
予想外の痛手を負う危険性は下がる。
けど、より良いもの、必要なものに出会うチャンスも減る。
そんなことを考えました。
また心の成長の話になってしまいましたね。
今日はここまで。